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大学の構内は広い。
そこをようやく出て、国道沿いの初めの角にあるコンビニにいるのだ。
歯がゆい気持ちが襲ってくるが、雪はなるだけ冷静に、前向きに考えた。
これが真理香の家のチャイムを押すときに気づいていたら?
そう考えれば、広い学内の端にある校舎まで向かい、現在修理中のエレベーターを横目に教室まで4階分、階段を駆け上がるだけで済むのだ。
十分近い!
「……はあぁぁぁ」
ため息ともボヤキともとれる曖昧な息を吐き出して、コンビニを出ると泣く泣く今来た道を駆け戻りだした。
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