1. 鳥と空と太陽

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   雪がようやく4階の教室に辿(たど)り着いた時、携帯が鳴った。 「もしもーし。雪? もう家に着く? コンビニ寄れそうだったらチョコか何か買ってきて欲しいんだけど。家に甘いものが何にもなかったのよ。スイーツでもいいんだけどなあ。欲しいでしょ? 甘いの」  少しハスキーな真理香の明るい声が電話口から聞こえると、誰もいなくなった教室に響いた気がした。 「ハア。ハア。ハア」 「何よ? 走ってんの? どうしたの?」 「ハア。走ったの。4階まで。教室にさ。忘れちゃってさ。図書館で、借りてたのに……真理香の、頼んでた本。ハハハ…ハア」  真理香に答えながら、ユキは跳ね上がり式になった椅子を倒すと、全体重を一気にその椅子にかけた。  
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