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無理して走らず歩けばよかったなあ。
真理香の言葉を待ちながら、どうして自分が馬鹿みたいに階段を走ったのか考えていた。
すると明るい真理香の声がまた響いた。
「図書館で『医療基礎学』借りてくれたんだね。サンキュー。でも悪いんだけど週明けレポート提出なんだよ。取りに行ける?」
吐く息に紛れて聞き取れなかったのか、真理香は申し訳なさそうに言った。
息が整ってきたユキは笑いながら答える。
「聞こえなかった? だから可愛い真理香様の為に取りに来たんでしょうが」
よし! 休憩終わり。
跳ね上げ式の椅子から立ち上がると、机の上に置き去りにされた本を手に取り、今度は確実にリュックの中に押し込んだ。
それからさっき買ったコンビニ袋を片手に。
もう一方の手でスマホを耳に当て教室の隅のドアへと足を向けた。
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