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放課後、天文部の部室に行くと、中央の机の上に三、四十センチのゲージが置かれていた。ふわっと、草の香りと動物の匂いが漂ってくる。
入谷が陶器の餌入れに、袋からひまわりの種をじゃらじゃらと移していく。生物の世話を好んでするようなタイプには見えず、意外に感じながら、僕は椅子を引き、腰掛けた。
「ジャンガリアンハムスターよ」
「ハムスターなんていたのか」
「今日は当番なの。生物部が飼ってたんだけど今年は部員がいないから、天文部の私も世話を手伝ってるのよ」
「そう言えば、入谷は星が好きなのか?」
入谷が不思議そうな顔をして、僕を見た。
「好きな星は月よ」
その答えは通なものなのか、それともさほど興味がないだけなのか判断しづらい。
「帰りが遅くなっても、天文部で活動してるって言えるし便利でしょ? だからよ」
「なるほど」
荷物を置いて、入谷のそばに行く。ペットを飼った経験がなく、ハムスターはペットショップやテレビでしか見たことがない。少しわくわくしながら、そっと覗き込む。そこには、毛玉のような生き物がいた。
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