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全体的に灰色がかった毛並みをしており、黒いラインが耳と耳の間から尻尾の方へむかってすっと入っている。ずんぐりとした体系で、ひまわりの種を口のそばでもぞもぞと動かしていた。
可愛いと言えば、可愛い。しかし、なんだろうか。ハムスターとは、もっとこう、目がくりくりとしており、愛嬌を振りまく小動物というイメージを持っていたのだが、目の前のハムスターは瞼が常に半開きで、なんとなく目が据わっているように見える。
「不機嫌そうなハムスターだ。飼い主に似たのか?」
「そう? ビシャスはいつもこんな感じよ?」
「シド・ビシャス?」
「このハムスターの名前」
「僕の知っているビシャスの意味は、邪悪な、とかそういう意味なんだけど」
「私の知ってるビシャスの意味も、邪悪な、とかそういう意味だけど?」
悪そうな顔をしたハムスター、ビシャスは新しく入れられた餌入れに頭を突っ込むと、ひまわりの種をせっせとかじり始めた。眼前で、札を数えているようにも見える。
「その、具合はどうだ?」
「もう、落ち着いたわ」
「そういうのは、いつ頃からなんだ? その、予感能力に目覚めたのは」
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