第二章 ブルーベリーモンスター 

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 入谷が、口角を上げて八重歯を覗かせるように笑い、声を発した。 「森須が戦うのよ」 「僕が? あのとんでもヒーローと戦う?」  入谷が、口を歪め、目を輝かせ、頷く。覗く八重歯は、まるで隠し持った牙のようだった。捕食しよう、と息巻いている。 「一つ、新しく質問。なんで森須は強いの?」 「僕が強い? 冗談はやめてくれよ、そんな」  言葉が遮られる。入谷が、いつの間にか左手を僕に向けて突き出していた。何かが握られているのがちらりと見える。反射的に、入谷の左手首を左手で掴んで捻り上げた。右手の甲でスナップを利かせ、入谷の左手を下から叩き上げる。  やっちまった、と内心で舌を打つのと同時に、左手から弾き飛ばした何かが入谷の後ろに落下する音がした。 「ほら、答えて。何で強いの? 昨日、スーパーを出てからのこと、見てたのよ」  返答に窮する。茶髪の男について行き、のしたのを見られていたのか。昨日は判断能力が鈍っていたとはいえ、尾行されたことに気付かなかったとは、とまた落ち込みそうだ。 「強くないって」 「強いじゃない」 「こんなものは強いうちに入らない」     
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