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「警察官に見つかったけど、たまたま僕の見物をしていた人に助けられたんだ。で、処世術を身につけろって鍛えられたんだよ。どうせ、やめられないんだろ? なら、自分を守る力を手に入れろってね」
「なるほどね。でも、何者なのよ」
「詳しいことは教えてくれなかったけど、いつもでっかいサングラスをかけていたし、馬鹿みたいに強かったし、絶対に堅気じゃないだろうな。だから、悪人の道楽に付き合わされただけな気もする」
「でもいいじゃない。結果、そのおかげでレッドと戦えるんだから」
「協力する、とは言ったけど、戦う、とは言ってないぞ。それに、前にも言ったけど一発殴った後どうするんだ? 怒ったレッドにボロ雑巾にされるのはごめんだ」
「秘密兵器があるわ」
前にそんなことを言っていたな、と思い出す。だが、それは入谷の予感能力のことではなかったのだろうか。入谷は僕の困惑を気に留める様子もなく、背後にある棚の下段を開いた。覗き見ると、中に金庫があり、電話と同じ数字のボタンと、手動で回す為のダイヤルが付いているのがわかる。高校の部室にあるにしては、無駄に厳重だ。
「これが、秘密兵器」
ごとり、という鈍い音と共に、机の上に青いものが置かれた。目を凝らして観察する。
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