第二章 ブルーベリーモンスター 

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 肩口から手までの青い腕。いや、腕を模した甲冑のようだ。だが、上腕部分に太いケーブルのようなものが覗き、なんだか機械的と言うよりも、筋肉の繊維を彷彿とさせる。手は指の関節ごとに素材が分かれていて、トカゲの鱗みたいだ。無機質なもので、有機的な人間の腕を再現した、という感想を持つ。青い塗装は光沢を放ち、僕に自分の美しさを自慢をしてきているように見えた。 「なんだこれ」 「ブルースドライバー」  入谷が慈愛の籠った視線を、青い腕に送っている。ビデオカメラを眺める喜多村に通じるものがあった。  当たり前のように、ブルースドライバーと教えられても、あぁこれが? とは思わない。ペットのチワワを見せられて、あっこれがチワワなんだ、と思うのとはわけが違う。 「説明になってないぞ」  こういう時の入谷は、いつも明快な答えをする。  説明するより早いから実際に見せる、だ。
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