第二章 ブルーベリーモンスター 

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 上腕の一部を開けると、中にスイッチがあった。入谷が、僕に装着された青い腕に熱い視線を送りながら、「じゃあ、電源を入れるわよ」と興奮を殺した声で言って、スイッチを押す。カチッと音が鳴った。  するとすぐに、ウーッと短く唸るような音が青い腕の中から聞こえてきた。モーターが回転しているような、そんな音だ。腕のパーツの隙間から青い光が漏れ始める。と、同時に腕に痛みを覚えた。思わず声が漏れる。ぎゅうっと、腕全体が締め付けられていく。 「大丈夫?」 「ああ、大丈夫だ」  感覚としては、血圧の測定器に近い。最初は強く締め付けられていたが、段々と弱まっていき、ピッタリと腕にフィットする。腕を動かしてみる。装着しているのに、普段の腕の動きを再現できる。馬鹿みたいに重いということもない。腕よりも、右手にしているグローブの方が重い気がする。 「手首の所にダイヤルがあるの、わかる?」  見ると、手首部分が一回り太く、輪っかを嵌めたような形をしていた。自転車のギアみたいに動くらしく、0、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、と三つの数字と三角形がその数字を指すように書かれている。 「Ⅰが、対人用。スタンガンと同じね。それで触れば、相手が気絶するくらいの電気が流れるわ。Ⅱ、Ⅲって順に強さが上がるけど、Ⅲは調整ができないから使わないで」  口で説明されても、絵空事と言うか、なんの実感も沸いてこない。     
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