第二章 ブルーベリーモンスター 

21/59
前へ
/239ページ
次へ
「充電してるけど、一回五分くらいしかもたないってことと、ダイヤルの数が大きければ大きいほど、持続時間は短くなるってことを覚えておいて。じゃあ、ダイヤルをⅡにしてから、あの岩を本気で殴ってちょうだい」 「どうなるんだよ」 「使ってみれば、わかるわよ」  ごくり、と唾を飲み込む。厳重に保管されていた青い腕、起動してからの腕の動き、何より、入谷の真剣すぎるほどの声と表情に、何かが起こるということは、わかった。  入谷が話すことを聞き、これから起こることへのただならぬ予感は覚えていた。計画とブルースドライバーなる青い腕を見せられ、予感が確信へと変わりつつある。 「行くぞ」岩に歩み寄る。一歩、また一歩と進むごとに岩の存在が巨大になる。ただの大きさの話ではなく、僕が前進するにしたがって、これから立ち向かう問題そのものも巨大になっていくのではないか、という危機感を覚える。  岩が眼前にやってくる。もう進むスペースはない。  ギアをⅡにすると、腕から漏れる青い光が強くなった。  右手の拳に力を込める。手を強く握りしめるごとに、バチ、であるとか、バリであるとか、そう言った高音で弾ける音をあげながら、右手が青白く光り始めた。  その場でステップを踏み、身体の力を抜く。腕を曲げ、左手を顔の横に構える。  左足で踏み込み、腰を捻る。  右足のつま先を回転させ、そのまま右の拳を岩に向かって振り抜いた。     
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加