第二章 ブルーベリーモンスター 

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 一秒もない瞬間の光景が、目に焼き付いた。  世界がスローモーションになったみたいだった。  右手は岩にぶつかるインパクトの瞬間、光った。  短く爆ぜるような音と共に、亀裂が走り、岩は割れた。  岩が倒れ、地面が揺れ、低い音が響き、身体を震わせる。  振り抜いた右手の先に、道が開かれた。 「ちゃんと動いた」  隣に入谷が立っていた。今、聞き捨てならない言葉を言った気がするが、僕は狼狽し、「これは、なんなんだ!?」と声を荒げる。 「ブルースドライバー」 「一体、これはなんなんだよ?」 「私は預けられただけ。作ったのは私じゃないから、細かいことは説明できないけど」 「おいおい、岩を割らせておいて、詳しい話は聞かせてもらえないってのか?」  僕が口を尖らせると、入谷は大きく息を吐き出してから僕を見て、口を開いた。 「胸のそのパックには小型バッテリーとCPUが、肩口と肘上のところには独自開発の高トルクのビグマフモーターっていう反応性の良いモーターが組み込まれてるの。CPUが自動で計算して、あんたの腕のスイングに併せてモーターの力を乗せてインパクトを強めて、且つぶつかる瞬間のダメージを装着した腕が吸収してるってわけ」  入谷が何を言っているのかわからない。     
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