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図書室で、糸魚川がネットの情報はあてにならない、と僕に教えてくれたエピソードだったと思い出し、あの話を僕にわざわざしたのは、これが理由かと思い至る。
入谷は自分の大切な人を、人の黒い感情の集合体によって殺されたのだ。なんと言葉をかけていいのかわからず、「そうか」とだけ呟いた。
「レッドが気に食わない理由の一つが、あの強さ。超人的な人間の能力なのか、それとも機械によるものなのかはわからないけど、私にはそれが気に食わないのよ」
「どうしてだ? ヒーローがいれば、助かる人も増えるんじゃないか?」
入谷が僕に視線を向け、ひどく弱々しく笑った。
「私にレッドと同じ力があれば、お姉ちゃんを助けることができた。そう思うのよ」
入谷の感情を押し殺した声を聴き、胸が詰まる。
風は吹いていないのに、なんだか急に肌寒さを覚えた。
「森須は、ヒーローなんて必要だと思う?」
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