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「レッドが出て来て、みんなが喜んでる。平和はレッドが守ってくれてるっていう雰囲気が、町を覆い始めてるのわかるでしょ? そんな中で、個人的な感情であいつを殴ろうって言って協力してくれる人は、いないわ」
「まあ、いないだろうな」
「あと最後に、見ちゃったからね」
「僕が器物破損してるところを、か?」
自嘲的に笑い、あれは手痛い失敗だった、と古傷を懐かしむ。
「違うわよ。森須がバイクのひき逃げ犯を捕まえるレッドを見てるのを、見たの」
「あぁ、あれには驚いた。初めてレッドを見たんだ」
「あんたすごい目をしてたわよ。獣みたいに、敵意むき出しの目をしてた」
指を向け、まさしく指摘された。その指の先端で、僕の心の奥を突かれている気分だ。
「そんな顔をしてたか?」
「勝手に、こいつなら仲間になってくれる、って思った」
「本当に勝手だな」
「ダイヤルⅠで殴れば、きっとレッドだって気を失うわ」
「もし、僕らがレッドに勝った、なんてことが町の人たちに知られたら、きっとみんな失望する。正義の象徴が揺らぐわけだからな。希望の光が消えることになる。それでも、レッドを殴るのか?」
喜多村はレッドの映画で苺原を元気にしたいと言っていた。柿崎はレッドに影響を受け、人を守れる人間になりたいと言っている。レッドによって、そういう思いを持った人は他にもいるだろうし、そういう人は今後もっと増えるはずだ。
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