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「ヒーローなんていらない。それにこれは、私たちの戦いよ。町の人は関係ないわ」
どこまでも自分勝手な奴だ。だけど、途中から怖じ気づかれて後悔し始めるような奴には手を貸したくない。
「わかると思うけど、失敗すればただじゃすまないわよ」
わざと言葉を避けている。失敗すれば、大怪我ではすまないし、その先にどんなことが待っているかはわからない。相手は正義のヒーローだ。そいつに真っ向から歯向かい、秘密兵器を使って戦おうと言うのだ。場合によっては、レッドが本気で僕らを潰しにくることもありえる。
僕の右腕には青い機械が装着されている。入谷はともかくとして、僕にはそのメカニズムがイマイチわかっていない。信用できるか、と言われればまだ頷けない。これを使うことによって、例えば後遺症が残る可能性だって多いにありえる。自信を持って、ブルースドライバーを僕に着けさせた、目の前の女子を見る。
ショートカットに大きな黄緑色のヘッドフォン、透き通るような白い肌、凛とした瞳が僕を見つめ、小さな唇をぎゅっと結んでいる。覚悟を決めたその顔は、なんだか高潔で眩しく、美しいと思ってしまった。
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