第3章

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「言い過ぎた、ごめん。 論文が進まなくてイライラしてたんだ。 今日はアッシュにあたってしまうかもしれない。 だから、今日はもう帰ってくれ…」 しかしアッシュは、じっと美龍空を見つめたままだ。 「え、何?」 美龍空は無言で見られていることに居たたまれず、アッシュに問う。 それでもアッシュはじっと美龍空を見つめるだけで何も言わない。 あまりにも綺麗すぎる顔で見られると、落ち着かない気持ちになる。 アッシュ?ともう一度名前を呼んでみても、何も変わらなかった。 この室内がここまで静かだと、通路を通る研究員たちの声だって聞こえる。 今この状態の研究員たちの声はあまり聞かせたくない。 美龍空は俯きがちにはぁと深いため息をつくが、ふとアッシュの謎の行動の意味に気付き、バッとアッシュを見た。 アッシュと目が合う。 アッシュは眉間にシワを寄せ、見るからに不機嫌そうな顔でこちらを見ていた。
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