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暗闇を切り取ったような漆黒の癖がなく柔らかそうな髪を持ち、上質な陶器のように白くきめ細かい肌には二重のぱっちりしたアーモンド型の目、形のいい通った鼻筋、ぷっくりとした広角の上がった唇が美しく配置されていて男女問わず一度は見惚れる中性的な美人に見せていた。
そんな誰からみても美人な男の視線の先には部屋に対して少々小さすぎるテレビがある。
しかし美龍空が浮かない顔をしているのは別にテレビが小さくて見にくいわけでも、少々古くなってきたために画面の映りがおかしいことに腹をたてているわけでもない。
むしろその点は美龍空にとってどうでもいいことだ。
問題はテレビが映し出している人物、近隣国の第一皇子であり、以前愛した相手だった。
かれこれ1年経つのにまだ顔を見て胸が痛む。
「…忘れるって決めたじゃないか…。」
そう苦しげにつぶやくと、リモコンの一押しでかつての愛しい人を映し出した画面を黒く染めた。
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