第5章

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 美龍空は俺のことどうとも思ってないどころか、今度こそ嫌われた。  だからもう、会いたくないのだと。  すると、ルシアンはそうかとだけ言って、その日はなにも言わなかった。  なのに、まさかその数週間後に 「お前が嫌われたと思ってる美龍空くんな、お前に飽きられたと思って泣いてたぞ」  とさらっとアッシュに告げ、何食わぬ顔で仕事を再開した。  あまりにサラッとしすぎて書類に目を通しながらそうかと受け流したが、ようやくことを理解したアッシュは勢いよく顔を上げた。 ルシアンはその時のアッシュの顔はまさに鳩に豆鉄砲食らわせたような顔だったと形容する。
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