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昨日、私達はドイツから帰って来た。今日は次女舞花も実家に帰って来て、数年ぶりに家族全員で日本での夕食である。ただ、裕ちゃんは物凄く寂しそうである。当然だろう。明日は長女綾花の結婚式なのだ。綾花は18歳。今日高校の卒業式だった。卒業式の次の日に結婚式。父親としては寂しいのであろう。
今ドイツではリーグ真っ最中なのだが、家族の大事なイベントだ。チームも快く送りだしてくれた。
岳斗君が挨拶に来たのは今年の1月。おめでた婚で、卒業式の翌日に結婚式をしたいとのこと。裕ちゃんはなにも言えなかった。だって、綾花は私達が高校三年生の夏に産まれている。反対したいができるわけないのだ。
「お父さん、ありがとう。」不意に綾花が裕ちゃんに言った。
「ごめんな綾花。お父さんは父親らしいことあまりしてやれなかったな。」
綾花はドイツに馴染めなかった。中学校卒業後、日本の学校に通いたいと言い出した。
裕ちゃんは離れたくなかったみたいだけど、祖父母がいる実家から通うならと高校の後輩が運営しているM女学院に通わせることにした。ブンデスリーガトップチームの正GKである裕ちゃん。多忙を極めていて、あまり父親らしいことができないまま、お嫁に出すのを凄く後悔していた。
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