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「だからお父さんは反対出来なかったのね。」鋭い舞花。流石私の娘ね。
「よく反対されなかったね。」
「周囲は大反対だったぞ。でもな。お母さんが俺達の両親に「私達二人がお互い一番大切だから出来た私達の大切な子供です。だから、私は産みます」ってな。」
「ちょっと裕ちゃん、言わないでよ。」もう、子供達に何言うのよ。恥ずかしいじゃない。
けど、綾花は泣き出した。「お母さん。ありがとう。お母さんがいなきゃ、私産まれてなかった。」
「お父さんも凄かったのよ。蓮華伯父さんと殴りあいの喧嘩して。」
「こら、なに言ってんだ。」ふん、さっきのお返しよ。
「お兄様は最後まで反対していて、あきらめない裕ちゃんをぶん殴ってね。一回り違う大人に真っ向から向かっていったのよ。」
「お父さん、ありがとう。私は生まれる前からお父さんに守られていたのね。」
泣きながら裕ちゃんに抱きつく綾花。
「…。」娘にやきもちなんて…。でも悔しいから、霧で押し潰してやったわ。
「わぁ、赤ちゃんだ。」葉瑠が歓喜の声をあげる。
高校総体優勝の翌日に、初産とは思えないほど安産で産まれた私達の娘。
私に総体優勝の楯を持たせて、私と綾花を抱いて写ってる写真がそこにあった。
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