記憶の彼方に。過去ルート、結婚前夜

綾花のアルバム

「お母さん振袖だ。」成人式。2歳の綾花を抱いている裕ちゃん。隣には「結婚していても、せっかくの成人式なんだから。」といって、お母様が用意してくれた振袖姿の私。このとき、舞花がお腹のなかにいたから、四人での初めての写真だ。

舞花が産まれて、綾花と二人の写真が大量に続いた。

「どれだけ撮ってんのよ？」舞花は呆れている。お母様は写真が大好きだった。裕ちゃんと唯ちゃんの写真だけでなく、よく遊びにいっていた、私と茜ちゃんの写真も大量にある。そんなお母様に刺激されたのか、私も写真が大好きになった。卒業するまで、二百枚を越える二人の写真が出てきたのだ。

「これはドイツで初めての写真だな」

22歳。大学生で選ばれたワールドカップ。裕ちゃん、太一君、哲也君、倉本君、早瀬君、若松君(FWで出場)達同世代活躍もあり見事初優勝。ワールドカップと綾花を抱く裕ちゃんと、隣で舞花を抱く私。裕斗は目をキラキラさせている。「父ちゃん、これ友達に見せてもいい？」と聞いていた。

自慢したいんだろうな。確かに自慢の旦那様だからね。

綾花は五歳で日本から離れた。

「このときは泣かれたな。」
私達の卒業で、ドイツに渡ることになる。裕ちゃんはブンデスリーガ、私はピアニストとして渡独したのだ。