第一章 異世界に呼ばれて

7/18
前へ
/220ページ
次へ
 Tシャツにジーパン、スニーカー姿の龍介の姿は、このファンタジーな中世な感じの集団からは奇異に見えた。  しかも、なんだ? ぐっすり眠りながら、空から降りて来た、だって? いったいどういうことだ?  龍介はパニック不可避だった。 「まあ、いい。ひったてろ」  両腕をつかまれて、連行されようとする。龍介はもう真っ青だ。 (オレはどうなってしまうんだ~?)  Jリーガーになる夢破れながらも、地域リーグから再起を懸けて頑張っていた。そんな日々から突然吹っ飛ばされて、異世界とでも言おうか、違う世界にいる。  夢なら覚めてほしいと思うが、どうも夢ではなさそうだ。 「これ」  という声がする。  その声の主は、怪しげにくねる木の杖を手にしてグレーのマントフードを羽織っている初老の男だった。
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加