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話はさかのぼる……。
ひとつのボールを追い、緑のピッチを駆け巡る22人のサッカー選手たち。
それぞれが必要なポジションにつき、足技を駆使しボールを巡る攻防を繰り広げている。
ある地方都市で開催される、あるアマチュアの地域リーグの試合。
県立運動公園の球技場。緑のピッチが夏の太陽の光に照らされて栄える。
そこを青と赤のユニフォームの選手たちが駆け巡っている。
「行け、どんどん前に出ろ!」
青のユニフォーム、フォワードの源田龍介はミッドフィルダーがそう叫ぶのを聞いて、相手選手をかわして前に進み出れば。
そのミッドフィルダーの蹴り上げたボールが飛んでくる。
ピッチの横にはベンチが置かれて。そこではサポーターたちがやいのやいのと、太鼓のリズムに合わせて声を張り上げて応援をしている。
相手のディフェンダーが飛んでくるボールを奪おうと龍介の眼前まで迫る。が、龍介は相手をパイロンにするかのようにくるりと回り、その動きにやや翻弄されて動きが鈍った。
「やったぜ!」
龍介は不敵に笑った。相手の動きが鈍った間にボールは落ちてきて、それを足ですくうようにしてとらえて、蹴って駆け出し。
ゴール目掛けてドリブル。
「しまった!」
と相手のディフェンダーは思ったが、もう遅い。
龍介はゴール目前。ドリブルを止めて、シュートの構えを取った。すると、相手のゴールキーパーが飛び出す。
その動きを見計らい、ゴールキーパーを避けながら再びのドリブル。シュートはゴールキーパーを騙すフェイントだったのだ。
「あッ!」
しまった! というゴールキーパーの叫びを耳にしながら、龍介はゴール真正面でボールを蹴った。
急いで駆け戻った相手の選手が2名いる。笛は鳴らず、オフサイドもない。
「もらったー!」
他の選手が掻き出そうとする足を避けるようにボールは飛び、ネットに突き刺さる。
ゴールを奪った!
喚声が上がり、龍介は拳を振り上げガッツポーズをして仲間たちに飛び込み得点の喜びを分かち合う。
その直後だった。
ぴー、ぴー♪
試合終了の笛が鳴る。
青のユニフォームの龍介たちはガッツポーズをして、
「うおー、やったー!」
と、歓声を上げて歓喜をサポーターたちとともに爆発させた。
そうなのだ、龍介はアディショナルタイムの、試合終了間際も間際でシュートを決めたのだった。
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