第一章 異世界に呼ばれて

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 話はさかのぼる……。  ひとつのボールを追い、緑のピッチを駆け巡る22人のサッカー選手たち。  それぞれが必要なポジションにつき、足技を駆使しボールを巡る攻防を繰り広げている。  ある地方都市で開催される、あるアマチュアの地域リーグの試合。  県立運動公園の球技場。緑のピッチが夏の太陽の光に照らされて栄える。  そこを青と赤のユニフォームの選手たちが駆け巡っている。 「行け、どんどん前に出ろ!」  青のユニフォーム、フォワードの源田龍介はミッドフィルダーがそう叫ぶのを聞いて、相手選手をかわして前に進み出れば。  そのミッドフィルダーの蹴り上げたボールが飛んでくる。  ピッチの横にはベンチが置かれて。そこではサポーターたちがやいのやいのと、太鼓のリズムに合わせて声を張り上げて応援をしている。  相手のディフェンダーが飛んでくるボールを奪おうと龍介の眼前まで迫る。が、龍介は相手をパイロンにするかのようにくるりと回り、その動きにやや翻弄されて動きが鈍った。 「やったぜ!」  龍介は不敵に笑った。相手の動きが鈍った間にボールは落ちてきて、それを足ですくうようにしてとらえて、蹴って駆け出し。  ゴール目掛けてドリブル。 「しまった!」  と相手のディフェンダーは思ったが、もう遅い。  龍介はゴール目前。ドリブルを止めて、シュートの構えを取った。すると、相手のゴールキーパーが飛び出す。  その動きを見計らい、ゴールキーパーを避けながら再びのドリブル。シュートはゴールキーパーを騙すフェイントだったのだ。 「あッ!」  しまった! というゴールキーパーの叫びを耳にしながら、龍介はゴール真正面でボールを蹴った。  急いで駆け戻った相手の選手が2名いる。笛は鳴らず、オフサイドもない。 「もらったー!」  他の選手が掻き出そうとする足を避けるようにボールは飛び、ネットに突き刺さる。  ゴールを奪った!  喚声が上がり、龍介は拳を振り上げガッツポーズをして仲間たちに飛び込み得点の喜びを分かち合う。  その直後だった。  ぴー、ぴー♪  試合終了の笛が鳴る。  青のユニフォームの龍介たちはガッツポーズをして、 「うおー、やったー!」  と、歓声を上げて歓喜をサポーターたちとともに爆発させた。  そうなのだ、龍介はアディショナルタイムの、試合終了間際も間際でシュートを決めたのだった。
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