第4章 : 君の知ってる僕のこと、僕の知らない君のこと

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 体育館通用口の前にずっといても仕方ないだろう、と引き返してきた。最悪学校で一晩明かすなら一階より二階の方がいいかなー、とかのんびり考えていたから二階に行くのも別に嫌じゃない。  だけどこの後どうするんだっけと思って聞いただけだ。成島が楽しそうに階段を一段飛ばして駆け上がっていくのを見ていたら、遠山がぼそり、と言う。 「え……? 窓から出るんでしょ……」    聞いた瞬間、今すぐ引き返そうと思った。だけど三人ともそれを瞬時に察したらしい。成島がにこっとやたら力強い笑顔を浮かべていて、仁羽が爽やかなのに薄ら寒い顔で首根っこをつかむ。遠山は「怪我人の俺が行くのに……園田が行かないわけないよね……?」とか言って、力強く腕を握っている。 「落ち着こう、三人とも!」  とりあえず叫んでみたけど、二階まで連行されて行くしかなかった。
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