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大きく息を吸って、ゆっくり吐いた。心臓の音がどきどき、頭に響いている。
「……絶対、迷惑かける」
駄々こねてる時点で、すでに面倒くさいのに。さらに木から下りるなんてどれくらい厄介かわからない。
三人とも困るに決まってる。置いていった方が楽に決まってる。絶対に迷惑にしかならないし、いない方がいって思うだろう。それなら、言うべきことは決まっている。
「俺なら、平気だから、三人だけで行っていいよ」
後回しにされるのには慣れてるし。面倒なこと背負い込むタイプじゃないから、これだけ言えばきっとわかるだろう。
俺のことなんて邪魔になるってわからないわけない。無視した方が簡単なんだ。床を見つめながら、精一杯笑顔に見えるよう言った。それなのに。
「でも、みんなで行こうよ」
明るく強い言葉に、弾かれるように顔上げる。目の前の成島を見た。
にぱっという感じで、光をいっぱいにして笑っていた。俺が言ったことなんて全然耳に入ってないみたいに、真っ直ぐ折れない言葉を投げる。
「時間かかっても、途中で動けなくなっちゃうんでも、何でもいいけど、一緒に行こう?」
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