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「事実だろ。そもそも、中学だろうと小学生だろうと壁新聞作る意味がわからねえ」
思い出すのは、真っ昼間、夏の日差しが照りつける職員室。
延々と繰り返されるお説教をずっと拝聴していた。
しかし、仁羽の言葉を聞いた尾西先生は、それまで怒っていたのが嘘みたいに笑って言ったのだ。
「下校時刻まで、時間はあるでしょ。出来上がるまで残って書きなさい」って。
「クッソ。担任の横暴だろ」
思いっきり仁羽が舌打ちしていて、よっぽど許せないらしい。
俺だって、今日は家に帰らないで直接お祭りに行っていいって許可もらってたんだけどなぁ、と思う。尾西先生は今日がお祭りってこと忘れてるんだろうか、って思ったけど、そんなこともないだろう。「今日はお祭りだから、六時にはちゃんと帰りなさい」って言ってたくらいだし。
「んー、困ったねぇ。電話も出来ないし」
こてん、と首をかしげて成島がつぶやく通り。
うちの学校の電波状況の悪さは異常で、学校全体が圏外なのだ。山に学校が建ってるから、という理由だけじゃ片付けられないレベルで電波が入らない。
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