第5章 : call your name

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 視線を上に向けると、仁羽と遠山と成島が何やら話しこんでいる。これからの話をしているのかもしれないし、案外くだらない話をしているのかもしれない。  きっと、俺の所為で随分時間はかかったのに、そんなこと一言も言わない。当然みたいにしてくれている。  座り込んだままでぼけっと三人を見ていた。今さら疲れがやって来たみたいで、頭がぼんやりしている。だからだと思う。 「いつまで座ってんだよ」と、仁羽がぶっきらぼうに言うと成島と遠山もこっちを見る。「行こう」って成島が笑う。遠山も口元を上に引き結んでうながすみたいだ。  迷惑だったろうに、俺がいなかったらきっともっと上手く、簡単に済んだのに。 「……ありがとう」  もやがかかったような頭は、勝手に唇から言葉を落とした。にじんでいるのは、頭なのか視界なのかわからない。ただ素直に、思ったことが転げ落ちる。 「俺のこと、置いてったら楽だったよな。駄々こねて迷惑かけたのに、置いていかないでくれて、待っててくれて、ありがとう」  ちょっとひどいと思ったけど。強引過ぎて人の話聞かないで嫌だっつってんのに強制参加だし、マジでこいつら人でなしか! って思ったけど。     
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