第5章 : call your name

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「……後回しにされると思ったんだ。そんで忘れられるかなって、思ってた。誰も気づかないでそのままかな、って……」  何言ってるんだろうって思ったのに。こんなこと言われたってきっと三人とも訳がわからないだろう。それなのに、一言も口を挟まないで聞いているのがわかるから、今ならちゃんと言えると思った。 「知ってたんだ。別に嫌だとかじゃなくて、ウザイとか思われてるんじゃなくて、俺なら大丈夫って思われてるの、知ってた」  別に仲間はずれにされるわけじゃない。遊びの約束に「俺も行っていい?」って聞いたら楽しそうにOK出してくれる。だから悪気があるわけじゃないってわかってた。  ただ、忘れられたり気づかなかったりするだけだ。 「わざとじゃなくて、俺なら平気だろうって思ったまま忘れられるんだ。気づかないで後回しにされて、そのまま適当にあしらわれるんだ。それでも俺は、笑ってたけど」  だから変わらないんだとわかっていた。だけど、そうするしかないんだ。思った通りのことを言って、したいように動いて、本当に要らないって思われるくらいなら、みじめでよかった。 「……だから、いてもいなくても同じなんだなって、わかってたんだけど」
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