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生徒や先生が使っているのも南門と東門だけだし、正直あの二つの門はなくても全然問題ないと思う。しかし、成島の言葉に答えた遠山が発したのは、同意の言葉ではなかった。
「……西門と北門と神社って、直線上にあるんだって……」
抑揚がないのに、遠山の声はよく響いた。どこを見ているかわからない視線で、「だから……本当は……異界とつながっててね……」とこぼす。
「……あれは俺たち用じゃなくって……人じゃないものが通るんだよ……」
普段のテンションとまるで変わらない、近所の近道でも語るような気軽さだ。成島は素直に「ええーっ、すごいねぇっ!」と、メノウ様に新知識を披露している。
「ここ、通り道だから……あの門には近寄らない方がいいんだよね……」
一応話はそこで終わったらしく、くあ、と大口をあけてあくびをしているので。平和そうな遠山に向かって、とりあえず「仁羽に殴られるぞー」と告げた。
案の定、うっかり学校の心霊スポットなんて聞いてしまった仁羽が青筋立てて拳を握りしめる。俊敏な動作で間合いを詰めると、一気に拳を振り下ろそうとしたのだけれど。意外と遠山は速かった。
「……ってなんで俺の後ろに隠れるんだよ!」
「……園田。遠山をかばうなら、お前も俺の敵と見なす」
「ええちょっと落ち着いて仁羽!」
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