第6章 : そしてボクラは共に笑った

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「成績表も持って帰るのに……これ以上怒られるアイテムなんていらないのに……」  これで成績がよければ多少大目に見てもらえるかもしれないのに。  あいにくと、そんな効果を期待出来る成績じゃないことは俺が一番知っている。ちらり、と仁羽を見て「俺と成績表交換しない?」と言ってみたら「誰がするか」と切り捨てられた。 「えーだっていつも仁羽成績いいでしょ。たまには成績悪くてもいいじゃん」 「いいわけねえだろ。落差激しすぎて余計に俺が怒られる」 「いいじゃんいいじゃん、いい経験だって!」 「そんな経験要らねえよ。大体、お前なんて怒られ慣れてるだろ」 「え、いやそんな」 「別に褒めてねえ」  冗談の空気に乗って照れる顔で言ったら、案の定仁羽からツッコミが入る。まあ、確かにそこまで優等生路線でもないので、怒られたりたしなめられたりの経験はそこそこある。 「でも、仁羽に比べたら誰だって怒られ慣れてるでしょーよ」  注意を受けている所だってほぼ見たことがないくらいなのだ。仁羽ほど怒られる経験がない人間はいないと思う。成島にも話を振ってみれば「学校ではたまに怒られるねぇ」という返事だった。     
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