第6章 : そしてボクラは共に笑った

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「家ではあんまり怒られないんだけど。学校だとなんで怒られるのかな?」  首をかしげて言うけど、十中八九原因は胸ポケットのメノウ様関連だ。……しかし、家で怒られないとなると家公認なのか、諦めてるのか。果たしてどっちか。 「まあ……よく怒られるって言ったら、遠山だろ」  面白そうな顔で仁羽が、遠山に軽く言葉を投げた。確かに、教師と遠山が対面している場面はよく見る。そして、見るたびに注意を受けて叱られて怒られている。  遠山は仁羽の方へゆっくり顔を向けた。横顔を月の光が照らす。 「うん……学校だと、どうしてかよく怒られるんだよね……」  心底不思議そうな顔をして遠山は言うけど。授業中は基本的に寝てるし、忘れ物と未提出物の王者だし、授業中に指されても答えず、立たされたらそのまま眠った、とかいう噂も流れている。むしろ、先生たちもよく諦めないで怒ってると思う。 「うちは……ほら……妹以外どうでもいいから……家だと……全然怒られないんだけどね……」  月の光に照らされて透き通った横顔から、そんな言葉が漏れた。やわらかく告げる。 「……俺に興味なんてないから……別に、怒られるとか……ないんだよね……」
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