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ゆるやかに語る遠山はぼんやりと顔を動かす。前を向いてはいるけど、俺や、俺の後ろの校庭を見ているわけじゃない。もっと遠くを眺める目をして、何かを見つけようとするみたいに、視線を送っている。
「いつもそんな感じだから……今日も平気だと思うし……当たり前なんだけど……」
ゆったりと、まなざしが下へ動いた。遠山はわずかに考え込む顔をして、心の中を探っている。
俺たちは何も言わず、言葉の続きを待っている。テンポが遅くても、紡がれる言葉を待っている。
「妹ばっかり構って……気にされないのが……いつも通り、なんだけど……」
たっぷりの沈黙のあとつぶやいた言葉は、口の中に溶ける。ちらりと瞳が動いた。眠そうな目ではないけれど、はっきりしてもいなかった。ゆらゆらした目はアスファルトを見つめて、つぶやく。
「妹見てると……落ち着かなくなるよ……」
複雑な気分……と、ぼんやり続けた。言葉は少なかったけど、切れ端が届いた。
きっと遠山にとってそれは当たり前のことなんだ。日常の一部で、事実なのも変わりない。
だけど、どうでもいい顔をしなかった。何てことない顔をしなかった。
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