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胸ポケットのメノウ様を示して、当たり前の顔で言い切る。
成島はやけに自信たっぷりの顔で、誇らしそうに胸を張っている。月の光がさらさらと注いで、頬が光っていた。重大な新発見でもしたような口ぶりで、誇らしそうに言う。
誰も何も言わなかったけど、見れば遠山は薄ら笑っているみたいだった。月の光に透き通るような顔に、悪戯っぽい目がきらきらしている。仁羽も唇の片端だけを上げて、挑みかかるような、やけに力強い顔をしている。
それはどんな言葉よりも、しっかりとした答えだ。否定しないってことが二人の答えだ。
成島の言葉に首を振る理由がないって、みんなわかっている。だから、いいんだと思った。難しいことなんて考えないでもいいんだ。
「……うん。俺も、そう思う」
小さい声だけど、きっと届いたはずだ。ちゃんと拾ってくれたはずだ。
笑い出したいような、恥ずかしくて叫び出したいみたいな感覚に、胸の奥がふわふわする。くすぐったい気持ちのまま、俺は視線を上へ動かす。そしたら、少し欠けた月が出ていることに気づいた。
今まで夜は黒一色だと思ってたけど、月の周りはグラデーションになっていて、薄い色が周囲を取り囲んでいる。
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