第6章 : そしてボクラは共に笑った

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 早口で文句を言うけど、そうしたい気持ちもわかる。  風に乗れば聞こえるんじゃないかって思ってたし、それは嘘じゃない。  だけど、それなら、お囃子なんかよりよっぽど大きな神輿行列の音はどうして聞こえなかった?  ほんのかすかな、笛や太鼓の音が届くなら、騒々しい行列の音たちは絶対耳に入るはずなのに。  俺たちは誰一人、そんな音を聞いていないって知っている。聞こえる音が聞こえないのに、聞こえない音がはっきりと聞こえた。体の真ん中が縮むみたいな感覚がした。 「……よく気づいたね、仁羽……」  普段と全然変わらない口調で、遠山はつぶやく。仁羽は吐き捨てるように答える。 「むしろ気づきたくねえよ……」  いっそこのまま気づかなかった方がよかった、とか言うのは紛れもない本音だろう。確かに、どうせならこのまま知らないでいたかった。しかし、成島はまるで気にせず明るく言った。 「んー……でも、今でよかったんじゃない? 校舎にいた時じゃなくて」 「……」  想像しているらしく、仁羽が黙った。確かに、校舎内で気づいたらおかしくなれる。仁羽が気づいたのが今でよかった、と心から思った。 「……まあいい。はやく帰るぞ」     
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