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廊下は、ほの暗い世界へつながっていた。窓からぼんやり外の光がさしこんではいるものの、それだけだ。
精々数メートル先が見えるだけで、奥に行けば行くほど暗闇で塗りつぶされていく。お囃子や虫の声、風の音も遠くて、静寂が横たわる。
「なんでさー、図書室側に階段ないんだろうねぇ?」
成島のつぶやきに、俺も大いにうなずいた。階段は校舎の片側にしかないので、廊下の反対まで歩かないとどこにも行けない。こっちに階段があれば最短距離で移動できるのに。
「進む方向があっちって気乗りしないよなー」
奥まで行かないといけないから、必然的に、暗闇の中へ突っ込んで行く形になる。何かがあると思ってるわけじゃないけど、喜んで向かいたいかっていうと全力で首を振りたい。
とは言っても、ずっとここで立ち止まっているわけにもいかない。成島が軽やかに進み、俺も続く。遠山がのったり歩き出したと思えば、仁羽がゆっくりついてくる。
適当に歩いていると、ゆるく横一列になっていた。一番右、窓側から成島・俺・仁羽・遠山の順番だ。懐中電灯は両脇の成島と遠山が持っている。
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