第1章 : 寄せ集めのボクラ

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 ぱっと顔を輝かせた成島の言葉に、笑顔が固まったのがわかった。  ヤバイ、と思った一瞬の間に、成島はご神体と称するピンク色のうさぎのあみぐるみを取り出していた。 「メノウ様はねー、勉強熱心なんだよー」  真剣な顔であみぐるみを握りしめて、そんなことを言い始める。  成島は冗談を言っているわけでも何でもない。いたって真剣に、手のひらサイズのあみぐるみをご神体として、メノウ様を信仰しているのだ。  まだ成島の信仰を知らない小学生時代、かわいらしい顔で人気だった成島が、「好きな人いるの?」とか「好きなタイプは?」とか聞かれて、「メノウ様」と即答し、女子たちを凍りつかせたのは有名な話だ。  しかもそのあと、メノウ様の力や奇跡などを語り出し、なかなか解放されなかったらしい。  メノウ様はすごいんだから! と熱く語る成島を止めてはいけない。  止めるといっそう熱が入り、延々メノウ様の神話を聞かされ続けることになる。  小学生の頃からの付き合いのおかげでよくわかっている。  寝かけている遠山はもちろん、仁羽ですら突っ込まないのだ。  俺はしばらくの間、メノウ様光臨の様子を拝聴しながらタイミングをうかがっていた。     
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