第2章 : 暗闇と秘密の行進

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 扉を開けると、トイレ特有のつんとしたにおいが鼻にまとわりつく。大きな窓と近くに外灯があるのか充分な光が入ってくる。  ただ、さっきまで暗い所にいた所為か少しまぶしかった。三人並んで便器の前に立つ。そこで、成島も遠山も懐中電灯を持っていることに気づいた。 「……」  ということは、仁羽は暗闇に一人らしい。トイレからかろうじて光は漏れているけど、差し込んでいるわけじゃない。ないよりマシかもしれないけど、心強くはないだろう。  大丈夫かと思って小窓を見るけど、曇りガラスで外は見えなかった。生きてるかな仁羽。  さっさと用を足して手を洗い、早く行くかと思ったけどその必要はなかった。荒々しく扉が開いて、騒音と共に仁羽が入ってくる。  扉の方に全然意識を向けていなかったらしい成島と遠山は面食らったような顔をしていた。力任せに開けられた扉がきしんだ音を立てている。 「……仁羽も、トイレ……?」  問いかけに対して、無言でうなずく仁羽の眉間には深くしわが刻み込まれている。唇を結んで、人一人くらい殺せそうに鋭い目つきをしているみたいに見える。 「……じゃあ、僕たちは終わったから、外出てるね」     
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