第2章 : 暗闇と秘密の行進

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「浴衣すっごくかわいいんだよー。だけど、写真集で浴衣着てるのって、今学校に持ってきてる二番目のしかないんだよ。しかも、浴衣は花火大会とかじゃなくて、夏祭りバージョンなんだよね。縁日歩いてるの。だから今日見たいんだ。藍色の地だからあんまり派手じゃなくて、どっちかっていうと落ち着いてる感じも珍しいし、髪下ろしてることが多いけど浴衣だからあげてるし!」  だから絶対見る価値あるよ、と輝きを撒き散らしながら言われた。言われたけど、反応のしようがなくて曖昧に笑っておくしかない。成島はよりいっそう生き生きし始める。 「メノウ様もすごくかわいいって言ってるんだからお墨付きだよ。それに二番目は今までと違ってけっこう色んなことが違うからね。ストーリー性を重視してるし、見たら気に入るよ。絶対好きになるよ」  目の中に星でもあるんじゃないか、というくらいきらきらしている。放っておくと暗示でもかけられそうだった。  すごい美人っていうより素朴な感じのかわいいタイプの戸川美保は、俺だって嫌いじゃないしどっちかっていったら好きだけどここまでじゃない。というか、戸川美保の一体何が成島をこうまでさせるんだ……。顔?     
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