第2章 : 暗闇と秘密の行進

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 こちらを見もしないで言い放った。廊下に仁王立ちをして、美術室の方をにらみつけている。一瞬何が何だかわからなかったけど、まるで今から戦いに行くみたいな横顔に理解する。  成島はすぐさま反応して行く行く! と言って階段を駆け下りていった。仁羽は「さっさと行って、さっさと帰るからな!」と吠えている。ちらり、と時間が気になったけどまあいいか、と思った。  先に行く二人を眺めてからあとに続こうと階段を下りるけど、遠山が動かないことに気がついて、軽くつついた。 「起きてる?」 「……今は……」  もぐもぐとした返答に、ということはさっきまで寝てたのか、と思って苦笑するしかない。階段を下りながら行こう、と言ったら遠山がつぶやいたので振り返る。  眠そうな顔をしているかと思ったのに、そこあったのは真剣な顔だった。にらむ強さで、前を行く成島へ視線を向けて、言葉を落とす。 「……仲がいいんだね……」 「へ?」  何を指しての言葉かわからず聞き返したら、成島とお姉さんのことだった。寝てると思ったのに、話はちゃんと聞いていたらしい。そうみたいだなー、と返答する。 「遠山は……えーと、何だっけ。弟か妹いるんだよな」     
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