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「なら拾ってやった恩でも感じて、俺の言う通りの記事書けばいいだろ。そうすりゃまとまりも出る」
片付けが終わったらしい仁羽は、椅子の足元に置いていた鞄を拾い上げる。
ついでにイライラと吐き捨てた通り、俺たちの記事はものの見事に方向性がバラバラだった。その辺も先生的にはちゃんとやっていないように見えたらしい。
「まあ、俺たちに統一性を求める方が間違ってるけどな。だから、『統一性のなさ』で統一すりゃいいんだよ」
ふん、と鼻を鳴らした仁羽は、記事を書いている最中に言っていたことをもう一度つぶやく。
意見の統一なんて不可能だったので、結局内容はそのまま突っ走ることにしたのだ。
それぞれ、改良版として図解を入れたりちゃんと清書したり記事らしくはしたものの、統一性はやっぱりない。
「屁理屈だよなー」と笑ってみるけど、それに関しては俺も成島も遠山も賛成したので、異論はない。屁理屈でもなんでも、終わればいいのだ。
「記事の内容なんて、お前らが俺に合わせれば問題なかったんだ。そうすれば担任も文句のつけようがない」
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