第1章 : 寄せ集めのボクラ

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 ぶつぶつ文句を言うけど、めっちゃくちゃ小さい文字がびっしり書いてある呪いの書かな? って記事もどうかとは思う。  仁羽はさっさと扉の方へ歩いていく。早く帰りたい、という意志が全身からみなぎっているって感じだけど、俺だって同じ気持ちだ。  だって今日は、年に一度の水上神社の夏祭りなのだ。  終業式終わったらソッコー行こうと思ってたのに、何が悲しくて学校の図書室に足止めされてるのか。  思っていたら、成島がにこにこしながら言う。 「でも、仁羽の記事全然意味わかんないよねぇ? もっと中学生らしいこと書かなくちゃ」  ね、メノウ様? と語りかける成島は巻頭グラビアのコピーを提出するという潔さだった。  中学生らしさがリアルすぎるだろ、と言ったら成島はこちらを見て笑っているグラビアアイドルを指して、「戸川美保かわいいでしょー?」と笑っていた。  たぶんそういう問題じゃないけど、成島にしては(メノウ様で)人を不安にさせてないだけマシなのかもしれない。 「それじゃ、記事も完成したしさっさと帰ろうぜ」  一つ咳払いして、明るい声で告げる。  オッケーが出るかは謎だけど、最初に提出した記事の改良版が完成したのは間違いない。早く帰って夏休みに突入したい。
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