第3章 : 置いてきぼりグローリー

16/26
前へ
/177ページ
次へ
 ふりふりした格好をして、カラフルな髪で、ステッキみたいなものを持っている女の子のキャラクターたちと、遠山を交互に見る。  遠山はしばらく黙ってから、珍しく大きな息を吐いた。  はっきりした感情が出ているわけではないけれど、ちょっと顔をしかめている。仁羽と成島は予想外すぎたものの出現に、黙ったままだ。 「……はあ……。なんでこんな所に入ってるかな……」  ポーチに手を伸ばした遠山が、中身を取り出す。  出てくるのは、濃いピンク色をした手鏡だとか、リボンだとかキレイな色ガラスがはめ込まれたネックレスだとか指輪だとかで、たぶんアニメのグッズだろう。 「……」  中身を確認すると無言で詰め込み、入れといて、と言って手渡ししてきた。当たり前のような顔でなかったことにする、というより遠山にとっては意外でもなんでもないらしい。  あまりにも自然なので、「……遠山の、なの?」と聞いてみる。「まさか」とばっさり切り捨てられた。「俺こんなの興味ないよ……」と言うと、唇を噛む。 「……妹のだよ……」     
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加