第3章 : 置いてきぼりグローリー

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 遠くを見つめながら、平坦な声で先を続ける。  何でもかんでもワガママ言ったら通ると思ってるし……実際通るから性質が悪いよ……。勝 手に俺の部屋に入って……好き放題してぐちゃぐちゃにするし……。  感情の起伏がなくてのっぺりした言葉なのが、逆に違和感だった。発する言葉は刺々しいのに、ついてくるはずの感情見えない。 「まあ……うちは……妹中心に回ってるんだよね……」  思い出したようにあくびをして、遠山がつぶやく。ぼんやりした顔なのに、言葉ははっきりと届く。 「妹にかかりっきりだから、特に気にもされないし……。うちの両親だいぶ抜けてるからね……いない所で気づかれないから……」  淡い光に照らされて透き通った遠山から紡がれる言葉。「……食事忘れるわ……車でホームセンター行って帰ってくる時、俺を忘れるわ……あれは遠かったなぁ……家まで……」と、当たり前みたいに言ってのけるけど、それが遠山にとっての日常なんだろうか。 「……もともと、抜けてる人たちではあったけどね……。妹生まれてからは、さらに磨きかかってるし……」     
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