第3章 : 置いてきぼりグローリー

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 結果的には置いていったけど、俺も仁羽もそんなつもりじゃなかった。それだけは伝えておかなくちゃ。言わなきゃ、声に出さなきゃ、伝わらない。  遠山にとってはどうでもいいことかもしれないけど、出来ることはやっておかないと。 「置いていこうと思ったことなんて、一回もないし。美術室のアレはまあ、怖くて思わず逃げたけど、戻ってきたの、そんな意外だった?」  おどけるように、冗談みたいに言ってみる。答えなんてないと思ってたのに、「意外だったよ……」と遠山が答えるから、うん、とうなずいた。遠山が置いていかれるのが当たり前だって思っているんだなってわかってしまった。 「ちゃんと戻ってくるよ」  遠山は何も言わなかった。ただ無言でじっと、俺に視線をそそいでいる。珍しいものでも見るみたいな、新種の生物でも発見したみたいな目。 「置いてなんか、いかないよ」  ひたすら真っ直ぐ視線をそそぐ遠山。疑っているのか、何を言っているんだって呆れているのか。  わからないけど、出来る限りのやさしさを込めて言ってみる。胸の奥で、誰よりそうしてもらいたいのは俺だってわかってるけど。遠山の視線は揺らがない。 「あーまあ……遠山が嫌じゃなければ、だけど。迷惑じゃないなら、そうするよって話だけど」
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