第4章 : 君の知ってる僕のこと、僕の知らない君のこと

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 輪になって座りこみ、成島が大量に買っていたお菓子を開ける。俺たちは口々に感謝しながら、ありがたくお菓子に手を伸ばした。  昼の買い出し行った時、色々買っててくれてよかった……!  ちらりと思い出すのは、昼間のあれこれだ。コンビニなんて気の利いたものはないので、学校前の個人商店でおにぎりとかを買った。  成島が梅干しと鮭で、遠山が昆布と高菜。仁羽はたらことオムライスだった。俺の鶏五目とツナマヨを思い浮かべつつ、ぽつりとつぶやく。 「もうちょっと開けといてくれれば俺もお菓子とか買えたんだけど」  祭りのために早仕舞いらしく、最後の方は追い出される感じだったのだ。おにぎり選ぶだけで精一杯だったのに。あの時間でお菓子まで買えた成島は相当素早いと思う。 「まあ、確かに一回くらい神輿最前列で見てみたいけどなー……」  場所取りのために早く閉めたらしいので、気持ちはわかる。ぼんやりつぶやいたら、成島がとても不思議そうな顔で「そうなの?」と聞いてきた。  何がおもしろいのかな、という顔だと思ったら案の定。いつの間にか取り出したメノウ様に向かって「何がおもしろいのかなぁ」とか尋ねている。  仁羽と遠山は何も言わないし、二人もどうでもいいんだろう。無理やり楽しめって言う気はないけど、もし知らないだけだったら勿体無いよなぁ、と思いつつ口を開く。 「急な階段を神輿が駆け下りて来るのとかって面白くない?」  ちょっとしたショーを見る気分っていうか、アトラクションみたいな感じ。のろのろと進むだけの神輿じゃないし、やたら速いし重量感あるし、見てると楽しい。 「後ろにお囃子とか鳴物もついてきて、ドンチャンしてるし。トランペットとかもあってパレードってかサンバっつー感じで、楽しいよ」 「……脈絡ゼロだけどな」  ぽつり、とつぶやくのは仁羽。まあ確かに、神輿にそれはないだろうというような楽器が参加してたり踊ってたりするので、本来の祭りとしてどーかって声もあるらしい。 「でも神輿担いでる兄ちゃんとかオッサンに、騒げば騒ぐほどいいって言われなかった?」
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