第4章 : 君の知ってる僕のこと、僕の知らない君のこと

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「だから遠山が露払いやってたのか……!」 「あたり……」  少しだけ目を細めて笑うような顔をする。なるほど、どうして遠山があんな面倒くさいものをやってるんだろう、て思ったんだよ。  町中の神輿行列で先頭を務める人を露払いと言う。  小学生の子どもがやるんだけど、覚えることはあるし、一人しかやらないからやたら目立つし、大人たちにたった一人混じらなくちゃいけないし……とかで、やりたがる子はほぼいない。  大体、先生の親戚筋の子が犠牲になる。 「一回やれば……あとの山車引き……やらなくていいってうし……ちゃんと取引しました……」  そう言ってスナック菓子の袋に手を突っ込むけど、どうやらなくなったらしい。ぼんやり「終わりだね……」と続ける。 「……無駄な所で頭回るよなお前……」  しみじみと仁羽が言うので、思わず同意した。遠山が行事に参加しないのは普通だったので気にしてなかったけど、そんな裏事情があったとは。 「遠山もいろいろ考えてるんだなー。単にサボってるだけだと思ってたわ、ごめん」 「……サボってたけどね……。それまでずっと」 「サボってたのかよ!」
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