第1章 : 寄せ集めのボクラ

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「……内側から、開かないよねぇ」  成島がぽつりと言う。ドアノブはつるりとした銀色で、つまみも何もついていない。それ以外にも、内側から開けられる鍵のようなものは見当たらなかった。 「……閉じ込められたって感じ?」  あはは、と明るく言ってみるが、反応はなかった。成島は首をかしげて扉を見ていて、遠山は大きなあくびをしている。仁羽は眉間にしわを刻んで、「どういうことだ」と言葉を吐く。 「下校時刻なんぞ守ったことねえだろうが、あの用務員」  下校時刻になったら生徒を追い出して鍵をかけるのは、用務員の仕事だ。  ただ、うちの学校の用務員は雑で不真面目でルーズだから、時間通りに仕事したことなんてない。生徒にとっては周知の事実なので、下校時刻の六時を守ってる人間はほぼいないと思う。 「いつになく真面目だね、今日は」  下校時刻二時間後くらいに鍵かけに来るのが当たり前、みたいな感じなのに。下校時刻の存在、覚えてたのか……と逆にしみじみしてしまった。そうか、仕事ちゃんとやる時もあるんだな、新しい発見だな……。 「クッソ。大体、中に人がいることくらい気づくだろうが普通」
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