第4章 : 君の知ってる僕のこと、僕の知らない君のこと

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 つっけんどんに言われてそういえば、と手を打った。遠山と違ってどこにいるかまではわかってないんだし、迎えに来いと言っても無理だろう。まあ、迎えに来られても怒られるだけなんだろうけど……。 「あー嫌だなー。絶対怒られるわー……」  両親の顔を思い浮かべると腹の底がむずむずした。怒るだろうし、何を言われるかわからない。  ガッカリした顔をするだろうか。迷惑をかけるつもりなんて全然なかったのに。誰かに負担をかける気なんて、これっぽっちもなかったのに、こんなことになってしまった。心臓が痛い、気がする。 「……なら、さっさと行くぞ」  言うと仁羽が立ち上がった。尻の埃をはたくと、さっさと先に行くぞ、と重ねる。怒られる云々言っている暇があるなら行動しろ、とでも言いたげだった。 「うん! 一階に行って鍵確かめてこなくちゃね!」  続いて立ち上がるのは成島で、床に散らばるお菓子の袋を鞄に入れる。俺もそうだな、と立とうとする。しかし、遠山も立ち上がろうとしているので思わず言った。 「遠山はここで待ってろよ。怪我人なんだから!」 「そーだよ!」     
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