第4章 : 君の知ってる僕のこと、僕の知らない君のこと

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 成島も思いっきりうなずくのに、遠山は気にしないで「俺も行くよ……?」と言っている。どうして一人で待つのか理解出来ない、という顔だった。 「いやいや、遠山怪我人、怪我人は安静にするべき。オッケー? 何なら誰か残してくし」  まさか一人が嫌ってことはないだろうけど、とりあえずそう言ってみた。遠山はしれっと答える。 「別に誰が残ってもいいけど……俺は行くから……まあ、待ってれば……?」 「ああそういってらっしゃーい……ってお前残しとかなきゃ意味ないだろ!」  思わずノリツッコミしたけど、遠山の意志は固かった。何を言っても一人で残る気はないらしく、遠山を置いていくのはどうやら骨が折れそうなので、結局今まで通り四人で一階まで下りることにする。  階段を下り、理科室の前を通り昇降口に到着。下駄箱を素通りして玄関に手をかける。願いを込めて取っ手を回してみたけど、びくともしなかった。  全てのドアを確かめてみるけど、もちろん全部鍵がかかっている。  しかも、内側から開くようになっているものは一つもなかった。図書室や美術室と同じく、ドアノブには鍵の存在がかけらもなかった。 「やっぱりこうなるのか……あ、でも、体育館の通用口は?」 「まあ……ここまで来ると大体予想出来るけどな……」
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