第4章 : 君の知ってる僕のこと、僕の知らない君のこと

17/28
前へ
/177ページ
次へ
 おおげさに成島が目を見開いて、びっくりした顔をする。いや、絶対これは俺が普通だ。今までのクラスメイトはもちろん、学年全員のフルネームだって覚えてるぞ、俺は。  でもそれを言うとよけい何か言われそうだった。 「それぐらい当然だって。お前らが知らない方が変わってるんだって」  きっぱり言うのに、三人は本気で首をかしげている。こうなってくると、俺の方が非常識なんじゃないかって気がしてくるけど、そんなことはないはず。 「だって俺、お前ら三人のフルネームだって言えるよ」  他人との関わり合いが極端に少ない三人だけど、知ってる。積極的に話題に出てくることはほとんどなくても、ある意味有名人だし。  何より、クラスメイトの名前を覚えるなんてずっと当たり前だった。だって俺が名前を呼んでもらったら、ちゃんと返事が出来るようにしなくちゃいけない。してほしいことがあるなら自分からしとかないと。 「……遠山静」  扉を前にして立ち止まったまま、左隣の遠山を見て言った。     
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

82人が本棚に入れています
本棚に追加