第4章 : 君の知ってる僕のこと、僕の知らない君のこと

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 眠そうな顔じゃなくて、俺を見ている。いつも眠そうで、あんまりしゃべらない。ぼんやりしていることが多くて反応も薄い。置いていかれることを当たり前だって諦めてて、だけど今は一緒にいる。けっこう話してくれるし、実は意外と物知りで、頭も回ってちゃっかりしてる。たまにひどいこと言うけど、マイペースで、案外しっかり者だ。 「成島弘光」  右隣にいる成島を見て言うと、困ったように笑った。  小柄で、ぱっと見頼りない。黙っていれば天使みたいだけど、外見と言動のギャップは一番だと思う。怪電波は受信してるし、メノウ様関連の言動にはヒくし他人を不安にさせるし、よくわからない発言も多い。だけどたぶん一番素直で、裏も表もないヤツだ。それに時々やたら大人びていて、何もかも見通してるんじゃないかって思う時がある。許容範囲は一番広そう。 「仁羽達樹」  成島のさらに隣にいる仁羽は、居心地の悪そうな顔で突っ立っていた。  言動がいちいち偉そうで威圧的だし、上から物を見ている感じでいっぱい。でも実は怖がりで、いろいろわかりにくいだけみたいだ。実際本当に頭の回転は早くて、いろんなことが頭に詰まっている。悪いことしたと思ったらちゃんと行動するし、素直じゃないからわかりにくいだけで、意外と面倒見よかったりするのかも。 「……な? 俺ちゃんと知ってるだろ」
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